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インフルエンザの流行と薬について

[2023.11.21]

インフルエンザAが、ここ数年の中で一番流行していると思われます。

*インフルエンザに確定診断について

当院で行うインフルエンザ検査は「迅速インフルエンザ抗原検査」といい、鼻から細い綿棒を入れてインフルエンザウイルスがいるかを調べます。結果は、通常10分以内にわかります。残念ながらこの検査ではインフルエンザでも検出されない事があり(偽陰性と言います)、検査が陰性でもインフルエンザを否定する事はできません。特に発熱が始まって24時間以内は偽陰性になることがあります。

そのため発熱してすぐ検査した場合、精度は低く陰性とでてもインフルエンザを否定しきれません。(偽陰性)

上記の偽陰性の問題のため、医師の判断で症状や周囲の流行状況から強くインフルエンザを疑う場合、検査が陰性または検査を行わなくても、インフルエンザと診断することもあります(臨床診断といいます)。

一緒に食事した人がインフルエンザで自分も発熱した、同居の家族にインフルエンザがいて自分も熱などの症状がでた場合は当院では検査を行わず臨床診断を行っています。(お子様にとっては痛い思いはしなくて済むのであればしないに越したことはないと思いますしね。)

*抗インフルエンザ薬について

インフルエンザは、元々健康な成人では通常数日で自然によくなります。安静にして水分を十分にとることに加え、必要に応じて解熱鎮痛薬や咳止めを使います。タミフル、イナビルなどの抗インフルエンザ薬は症状が始まって48時間以内に服用した場合に、1日ほど症状の期間を短くするデータがあります。

インフルエンザの合併症を起こしやすい状態の方(65歳以上、喘息/糖尿病/心臓病/肺疾患/脳梗塞後など慢性疾患のある方、妊娠中、免疫抑制状態の方など)の場合には、合併症を防ぐために抗インフルエンザ薬の服用が勧められます。

また抗インフルエンザ薬に関しては、持病もなく健康な方であれば解熱剤などのみでも治癒は可能であり必須ではありません。なので祝日、休日に高熱が出たとしても、慌てずに自宅に解熱剤があれば服用して過ごしてもらって翌日に受診してもよいかと思います。

*ゾフルーザは当院は一切処方をしていません

去年あたりからゾフルーザという抗インフルエンザ薬が登場しています。当院受診された患者様でも家族が別の病院でゾフルーザをもらったから同じ処方が欲しいという意見も時々耳にしています。(初日に1回だけの内服ですむという利便性のみが患者へ説明されている印象です)

しかし当院では一切処方はしていません。

有効性・安全性でオセルタミビル(タミフル)に非劣性であるにもかかわらず薬の値段が高い点、そして耐性ウイルスの検出割合が高いというデータがあるため、よほどの基礎疾患がある方以外には使用するメリットが人類においてない、と判断をしています。

初日に1回だけの内服ですむという利便性だけを求め、乱用してしまうと本当に使用したい場面で効果が発揮されない事態になってしまいます。 

*抗生剤・抗ウィルス薬について

抗生剤の例からも明らかなように、感染症の治療はそれに対する耐性化との戦いです。安易に黄色の鼻汁がでているからと言って抗生剤を処方することは当院はありません。

冬になり上気道症状で受診される患者様が増えていますが、抗生剤の処方対象はほんのわずかです。(処方対象は扁桃炎の方が大半です)

9割以上の上気道炎はウィルス感染ですので、抗生剤は効果がありません。効果がないのに、なんとなく服用することを繰り返すことで耐性菌が生まれます。特にまだお子様の上気道症状で、毎回抗生剤を服用していたら、、、といつも危惧しています。

どんな薬もですが必要性・不必要性を説明させて頂き、適切な使用を心がけていますのでご理解のほどよろしくお願いします。

 

 

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